【7月1日 AFP】メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール(Andres Manuel Lopez Obrador)大統領は6月29日、政権に批判的なユダヤ人をナチス・ドイツ(Nazi)の指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)と同じ思想の持ち主だと非難した。同国のユダヤ人コミュニティーの反発を招いている。

 非難されたのは、主要日刊紙ウニベルサル(El Universal)に寄稿する評論家のカルロス・アラズラキ(Carlos Alazraki)氏。

 これを受けてメキシコユダヤ人コミュニティー中央委員会(Central Committee of the Jewish Community of Mexico)は、他者を「史上最も残忍な政権」になぞらえるのは「容認できない」と反発した。

 ロペスオブラドール氏は6月30日、ヒトラーだけでなくイタリアのベニト・ムソリーニ(Benito Mussolini)や旧ソ連のヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)といった独裁者の思想は世界に根強く残っていると主張し、自身の発言を正当化した。

「私が言いたかったのは、ヒトラーの思想は消えていないということだ。アラズラキ氏はヒトラーの思想の信奉者だ」

 ロペスオブラドール氏は、「善良で勤勉な」ユダヤ人の友人がいるとも述べた。

 公式統計によると、メキシコには約5万9000人のユダヤ教徒がいる。

 ユダヤ系の政治家には、ロペスオブラドール氏の盟友で、次期大統領候補と目されているメキシコ市のクラウディア・シェインバウム(Claudia Sheinbaum)市長らがいる。(c)AFP