【6月22日 AFP】アフリカ南東部マラウイで、リウォンデ国立公園(Liwonde National Park)に生息するゾウが急増し地元の負担になっているため、約250頭を国内の別の国立公園に移すことになった。国際動物福祉基金(IFAW)が発表した。

 約250頭は来月末までに、ゾウの個体数が少ないカスング国立公園(Kasungu National Park)に移される。

 IFAWによると、カスング国立公園では密猟が劇的に減少し、個体数が増えつつある。現在の約120頭に約250頭が追加されることで、個体数の長期的な確保が期待できるという。

 ゾウの個体数が増加している地域では、ゾウが群れで移動して作物を食べてしまったり、けがをしたゾウが攻撃的になり制御できなくなってしまったりといった問題が起きている。

 IFAWは「リウォンデではゾウの密猟が事実上撲滅され個体数が増加し、公園内の天然資源に影響が出ており、地域社会との衝突も生じている」と述べた。

 2016年と17年にも、地元の負担と住民との衝突を減らすため、520頭がリウォンデ国立公園から別の場所に移されている。

 ジンバブエなど一部の近隣諸国では、ゾウの個体数増加により人間と衝突し死亡する事故が大幅に増えたことを受け、世界的に禁止されている象牙取引の解除を求める声も上がっている。

 ただ、国際自然保護連合(IUCN)によると、他のアフリカ諸国では数十年にわたる密猟で、ゾウの個体数は危機的な状況が続いている。

 アフリカ南部には、アフリカ全体のゾウの個体数の70%が生息している。このうちマラウイには約2000頭がいる。(c)AFP