【6月8日 AFP】南米コロンビア沖で発見された、18世紀初頭に沈没したスペインのガレオン船「サンホセ(San Jose)号」と積み荷の、これまでで最も鮮明な映像が公開された。同号には、何十億ドルにも上る財宝が積まれていると考えられている。

 6日夜の海軍の発表によると、文化省の監督の下、遠隔操作型の無人潜水機による4度の調査が行われた。サンホセ号は、カリブ海(Caribbean Sea)の水深950メートルの場所に沈んでいる。

 この結果、サンホセ号には「人間が介入した」痕跡が見られないことが分かった。

 一部が泥に覆われた大砲や陶磁器、ガラス瓶や金製品などが確認できた。藻や貝に覆われた船首も鮮明に捉えられ、船体の一部も映っている。

 イバン・ドゥケ(Ivan Duque)大統領は、サンホセ号は「将来的に回収を考えており、完全な状態で保存されている」と述べた。

 回収が実現したとしても、財宝の所有権をめぐり、スペイン政府やボリビアの先住民族と争うことになる。

 沈没時、サンホセ号の所有者はスペイン王室だった。1708年に本国に戻る途中、カルタヘナ(Cartagena)近海で、英海軍により沈められた。約600人いた乗員のうち、助かったのは一握りだけだった。

 専門家は、サンホセ号には少なくとも200トンの金や銀、エメラルドが積まれていたと考えている。

 コロンビアは自国の領海で発見された沈没船は、同国の文化財の一部であるとして売買を認めていない。

 スペインは、積み荷はスペインの船に積まれていたものであり、所有権があると主張している。

 一方、ボリビアの先住民カラカラ(Qhara Qhara)人は、スペインが祖先に金銀の採掘を強制したことから、積み荷は自分たちに渡されるべきだとしている。

 水深が深いところに沈没しているため、船や積み荷の回収には技術的・科学的な課題が残っている。(c)AFP/Herve BAR