【5月31日 AFP】欧州連合(EU)は30日、ベルギー・ブリュッセルで首脳会議を開き、ロシア産石油について、大半の輸入を禁止することで合意した。ハンガリーの反対を受け、全面禁輸には至らなかった。

 全面禁輸をめぐっては、これまで数週間にわたって折衝が続けられてきた。しかし、自国経済への打撃を懸念するハンガリーが強く抵抗したため、パイプラインによる輸入を禁輸対象から外すことで妥協が図られた。

 シャルル・ミシェル(Charles Michel)欧州理事会(European Council)常任議長(EU大統領)は首脳会議中に「ロシア産石油の3分の2以上が直ちに(禁輸)対象となる。ロシアの戦費調達源を断つものだ」とツイッター(Twitter)に投稿。「ロシアに戦争を終わらせるよう最大限の圧力をかけることになる」と述べた。

 ドイツとポーランドもロシア産石油をパイプライン経由で輸入しているが、両国は輸入停止方針を打ち出している。このため欧州委員会(European Commission)のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は、EU全体で「年末までに事実上、ロシア産石油のうち約90%の輸入が停止されるだろう」と語った。

 EUの対ロシア制裁は今回で第6弾となる。今総会では石油禁輸のほか、ロシア最大手銀行ズベルバンク(Sberbank)を国際銀行間通信協会(SWIFT、スイフト)の決済網から排除する措置や、ロシア国営テレビ局3社への制裁、戦争犯罪を問われている個人のブラックリスト掲載なども承認された。(c)AFP