■鳥がつくった自然環境を人間が破壊

 約2000万人が住むデリー首都圏は、世界でも有数の大気汚染地域だ。自然が失われ、スモッグに覆われ、生息している鳥の種類も減ってきている。

 そうした中、他の生態系でも見られた現象だが、新型コロナウイルス感染対策として厳しいロックダウン(都市封鎖)が導入されたことでデリーの鳥の個体数が増えたと、獣医師のラージクマール・ラージプート(Rajkumar Rajput)氏(38)はAFPに語った。自身も、けがをした鳥を治療するクリニックを慈善事業で運営している。

 だが、鳥たちにとってロックダウンによるつかの間の安息の時は終わりつつあるとラージプート氏は指摘した。

「人間と鳥との距離は広がる一方です。この距離を縮めることはできません。人が自然を愛する気持ちを失ってきているからです」とラージプート氏は続けた。「鳥がつくった自然環境を、私たち人間が破壊しているのです」

 映像は2021年8、9、12月に取材したもの。(c)AFP/Laurence THOMANN