【5月9日 AFP】クロアチアの菓子メーカーが、家事を夫婦で平等に分担しようと呼び掛ける目的でロングセラーのチョコレートクッキーの商品名を変更したところ、かえって女性たちの怒りを買ってしまった。

 首都ザグレブに本社を置くクラーシュ(Kras)は、1957年から「ドマチッツァ(Domacica)」の商品名でチョコレートクッキーを製造販売している。ドマチッツァとは、クロアチア語で「主婦」の意味。これまでこの名称が問題視されたことはなく、バルカン半島全域で人気商品となっていた。

 だが、先週スーパーマーケットを訪れた買い物客が目にした商品パッケージには、「主婦兼プログラマー」「主婦兼弁護士」など、職種名が併記された名称が印刷されていた。

 会社側は、「女性は働きながら日々の家事を担っている場合がほとんどだ」ということを強調したかったと説明。「誰もが家庭における義務と責任を引き受け、家事を平等に負担する」よう訴えるキャンペーンだったとAFPに明らかにした。

 しかし、女性の権利活動家は名称変更について、女性の居場所は家庭であり、就きたい職業に就くには主婦であることが大前提だと示唆するようなものだと批判している。

 クロアチアの著名活動家サーニャ・サルナブカ(Sanja Sarnavka)氏は、「広告でステレオタイプとセクシズム(性差別)を強化するのは最悪だ」と述べ、ドマチッツァの不買運動を呼び掛けた。

 女優でコラムニストのエレナ・ベリャーチャ(Jelena Veljaca)氏も、クラーシュのキャンペーンは「女性蔑視の新たな波」を起こす以外の何物でもないと指摘した。

 ソーシャルメディアでは、「ばかげている! すべての女性が仕事と主婦業を兼任しているわけではないし、専業主婦は恥ずかしいことでもない」など、批判的な投稿が相次いでいる。(c)AFP