【3月6日 AFP】中東クウェートで、国防省が女性兵士に戦闘任務に就くことを認めたものの、男性保護者の許可が必要だとした上、武器の携行を禁止したため、女性の怒りを買っている。

 国防省はさらに、女性兵士は民間人と異なり頭髪を覆わなければならないとも決定。女性権利活動家は、「一歩進んで二歩下がる」政策だと批判している。

 クウェートは湾岸諸国で最も開かれた社会の一つと見なされており、今回の動きにインターネット上で反発が広がった。

 体育教師でクウェートサッカー協会(KFA)の女性委員会メンバーのガディール・カシティ(Ghadeer al-Khashti)氏は、「なぜ軍への入隊にこのような制限があるのか分からない」「警察を含め、あらゆる分野であらゆる女性が活躍しているのに」とAFPに語った。

 カシティ氏の母親は、1990年にイラクのサダム・フセイン(Saddam Hussein)大統領(当時)がクウェートに侵攻した際、米主導の連合軍によって7か月に及ぶ占領から解放されるまでレジスタンス活動を支援していたという。「母はアバヤ(全身を覆う長衣)に武器を隠し、レジスタンス活動家のところまで運んでいた。父もそれを奨励していた」

「何を根拠に、女性を弱いと見なしているのか理解できない」

 国防省は昨年10月、女性の戦闘任務参加を認めると決定したが、イスラム教のファトワ(宗教令)を理由に「(戦闘任務は)女性の本質に合わない」と主張する保守派議員から国防相に質問が出された後に制限を加えた。

■女性殉教者

 クウェート女性文化社会協会(WCSC)のルルワ・サレハ・ムラ(Lulwa Saleh al-Mulla)会長は、国防省の課した制限は差別的かつ違憲であり、協会として法的措置を取ると明言した。「わが国には、自らの意思で祖国を守った女性殉教者たちがいる。誰に命じられたわけでもない。祖国を愛していたからだ」

「クウェートがイスラム教国なのは事実だが、私たちは法律がファトワに左右されないことを求める。個人の自由は憲法で保障されており、法律は憲法に基づいている」

 クウェート大学(Kuwait University)のイブティハル・カティーブ(Ibtihal al-Khatib)教授(英語学)は、新規則をめぐる議論は筋が通っていないと指摘。「軍は男女を差別することなくまとめる必要がある」「危険は男女を区別しいないし、戦闘中の死も同様だ」と述べた。(c)AFP