【2月23日 AFP】米国務省は22日、アフガニスタンからの文化的、考古学的価値のある美術品などの輸入を18日から禁止したと発表した。

 対象となるのは、紀元前5万年から西暦1747年までの考古学的遺物と、9世紀から同1920年までの文化財。陶器や絵画、ガラス・象牙・木製の物品、古布、タイルなどが含まれる。

 同省は、輸入禁止は「緊急」措置だと説明。違法に売買された物品が米国内の美術品市場に流入するのを防ぐことでアフガンでの文化財の略奪を減らすとともに、テロリストや犯罪組織が売買利益を得るのを抑止することが狙いとしている。

 今回の措置は、昨年8月にイスラム主義組織タリバン(Taliban)により政権の座を追われた前政権が同年4月に要請していたもの。

 古銭収集家のピーター・トンパ(Peter Tompa)氏は、今回の措置の実効性に疑問を呈している。同氏は自身が運営するブログ「文化財オブザーバー(Cultural Property Observer)」に、「対象となる物品が押収された場合、仮に米国とタリバン政権との外交関係が回復すれば返還されるのだろうか」と投稿した。

 国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)は昨年、タリバンに対し、文化財保全を支援するよう要請している。

 旧タリバン政権が崩壊する直前の2001年、タリバンはバーミヤン(Bamiyan)州の大仏立像2体を爆破した。

 地元当局者とアフガンで活動していた元ユネスコ職員はAFPに対し、昨年のタリバンによる実権掌握後、大仏跡近くの倉庫に保管されていた貴重な出土品約1000点が盗まれたり、破壊されたりしたと語った。

 バーミヤンのタリバン当局は昨年10月、「略奪があったことは認めるが、われわれが到着する前のことだ」とし、前政権当局者が退避した後の「空白期間」に起きたとの見方を示した。略奪品の回収のため調査を進めるとしていた。

 現在、タリバン戦闘員が大仏跡の警護に当たっている。(c)AFP