【2月12日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は11日、アフガニスタンの前政権が米国内に保有していた資産70億ドル(約8100億円)を凍結する大統領令に署名した。凍結資産の半分はアフガンでの人道支援に活用し、残り半分は2001年の米同時多発攻撃の犠牲者遺族への賠償に充てるという異例の措置を取る。

 凍結された資産は、昨年イスラム主義組織タリバン(Taliban)がアフガニスタンで実権を掌握して以来、ニューヨーク連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of New York)に預けられたままとなっていた。米政府関係者によると、前アフガン政権への支援金が大半を占める。

 ホワイトハウス(White House)によれば、バイデン氏は凍結資産のうち35億ドル(約4100億円)をアフガン国民に対する人道支援に充てたい考え。

 米国では、同時多発攻撃の被害者や犠牲者の遺族からなる複数のグループが、攻撃を実行した国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)と同組織をかくまっていたタリバンを相手取り訴訟を起こし、被告の欠席により勝訴していたが、賠償金の回収には至らなかった。今回の大統領令により、凍結資産を使った賠償を求め提訴が可能になる。

 ホワイトハウスは「資産は米国内にとどまり、米国のテロ被害者が続けている訴訟の対象となる。原告は法廷で主張を審理される十分な機会を与えられる」と説明。ある高官は「前例がない」措置だと指摘した。(c)AFP/Sebastian Smith