【2月6日 AFP】チュニジアのカイス・サイード(Kais Saied)大統領は6日、裁判官の任命権を有する司法の独立監視機関である最高司法評議会を解体したと発表した。公正さを欠き、特定の利益のために運用されていたためだとしている。

 サイード氏は動画声明で、最高司法評議会を「過去のものだ」と評し、汚職にまみれ、2013年の左派政治家暗殺など政治的にデリケートな事件の捜査を先延ばしにしたと非難した。

 チュニジアは約10年前の「アラブの春(Arab Spring)」で唯一民主主義を実現した国だが、市民団体や反サイード政権派は、かつての長期独裁政権下のような権威主義体制に後退するとの懸念を表明している。

 観測筋によるとサイード政権は、独裁政権を率いたジン・アビディン・ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領の失脚後に議会や複数の内閣で主導権を握ってきたイスラム主義政党アンナハダ(Ennahda)への締め付けを狙っているとされる。

 サイード氏は昨年6月25日、首相を解任して議会を停止し、全権を掌握。以降は事実上の大統領令による統治を行っており、アンナハダなど野党はクーデターだと非難している。(c)AFP