【2月3日 AFP】アルゼンチンの首都ブエノスアイレス郊外で、有害物質が混入したコカインを吸引した住民少なくとも20人が死亡、74人以上が入院した。地元当局が2日、明らかにした。混入物はオピオイドの可能性があるという。

 当局は混入物の特定を急ぐとともに、直近24時間以内にコカインを購入した住民に廃棄するよう警告している。

 ブエノスアイレス州治安当局のセルヒオ・ベルニ(Sergio Berni)氏はテレビ局テレフェ(Telefe)に、問題のコカインには「中枢神経系を攻撃する成分」が含まれていたと述べ、流通経路の特定と遮断に取り組んでいると述べた。

 警察は、コカインは貧困層の多いトレスデフェブレロ(Tres de Febrero)地区の民家で販売されていたとみて家宅捜索を行い、10人前後を逮捕した。この民家からは、被害者家族の証言した特徴と似たコカインの包みが押収され、分析のため州都ラプラタ(La Plata)の研究施設に送られた。

 当局には2日朝までに、3か所の病院で中毒症状により複数の死者と重症者が出ているとの通報があった。病院で処置を受けた数人が医師に皆でコカインを吸引したと話したという。

 2日夜の時点で生命維持装置を装着された被害者の男性(31)の母親は、台所の床にうつぶせに倒れている息子を発見した際「ほとんど息をしておらず、白目をむいていた」とAFPに語った。

 ブエノスアイレス州によると、被害者は8か所の病院で確認されている。警察は、問題のコカインを購入した人が有害物質の混入を知らずに吸入してしまい、死者が増える恐れがあるとしている。

 治安当局のベルニ氏は、コカインに混ぜ物をしてかさ増しするのは「どの売人もやっている」とし、でんぷんなど無害な物質を加える場合もあれば「幻覚剤を混入する者もいる」と指摘。今回は「密売人同士の抗争」の中で有害物質が混ぜられたとの見方を示した。

 一方、検察当局は、売人間の抗争というのは現時点では「臆測にすぎない」としている。(c)AFP/Philippe BERNES-LASSERRE