■「パニックとうそと偏見」はエイズ危機の時と同じ

 エイズ啓発運動を展開する国際団体「アクト・アップ(ACT UP)」の創設メンバーで、パートナーをやはりエイズで亡くしたエリック・ソーヤー(Eric Sawyer)さんも、新型コロナの流行でつらい記憶がよみがえったと話す。

 国連(UN)のHIVとエイズに関するプログラムにも携わったことのあるソーヤーさんは、「偽情報、パニック、明らかなうそのまん延、そうしたことに個人で対処しようとすることも問題の一因になっています」と前置きし、「新型コロナに感染した人への偏見や差別は、HIVが流行した時の反応とまったく同じです」と話した。

 だが、エイズと新型コロナという二つの健康危機の間に得られた教訓もあるかもしれない。

 HIVの流行で「啓発と検査、予防法の実践」に効果があることを学んだとソーヤーさんは言う。

 HIVとエイズの啓発運動をしている人々は、新型コロナの関連物資の支給に関する改善や、貧困層・非白人・ホームレスの人々に対するワクチン接種の重要性を訴えてきた。