【1月11日 AFP】男子テニス世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は10日、オーストラリア政府によるビザ(査証)取り消しが裁判所命令で撤回されたことを受け、全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2022)への出場を引き続き希望していると表明した。

 新型コロナウイルスの予防接種を受けていないジョコビッチは、新型ウイルス関連の保健上の理由によりビザを取り消され、入国者収容施設に収容されていた。だが今回の裁判所命令により解放され、17日に始まる全豪オープンに出場できる可能性が出てきた。

 ジョコビッチはメルボルンからのツイッター(Twitter)投稿で、「いろいろなことがあったが、私はここに残って全豪オープンに出場したい。引き続きそれに集中している」と表明した。

 セルビアの首都ベオグラードで記者会見した母親のディヤナ(Dijana Djokovic)さんは裁判所の決定について、「息子のキャリアで最大の勝利であり、四大大会(グランドスラム)すべて(の優勝)よりも大きい」と語った。弟のジョルジェ(Djordje Djokovic)さんによると、ジョコビッチはすでに練習を再開したという。

 過去2年間にわたり新型ウイルス対策として厳しい入国規制を課してきたオーストラリアの保守政権にとって、ジョコビッチのビザ取り消し撤回は大きな痛手となった。ジョコビッチの高額な弁護費用は、豪納税者が負担を求められる見通し。

 ジョコビッチが裁判所命令の言い渡しを見届けた場所となったメルボルンの法律事務所では、建物前にセルビアのナショナルカラーを身にまとった数百人のファンが集まり、ジョコビッチの愛称「ノール(Nole)」を唱えたり踊ったりして、ビザ取り消し撤回を祝福。ジョコビッチが乗っていたと思われる高級車が事務所を出た際には、車を取り囲んだファンを引き離すため警察が催涙スプレーを使用する騒ぎとなった。

 だが政府側は裁判所に対し、アレックス・ホーク(Alex Hawke)移民相が「個人的な(ビザ)取り消しの権限」を行使する可能性を示唆しており、ジョコビッチが全豪オープンに出場できるかどうかは依然不透明だ。(c)AFP/Mell Chun