【1月10日 AFP】ナイジェリア政府は9日、北西部ザムファラ(Zamfara)州で武装集団が村を相次いで襲撃し、少なくとも200人が殺害されたと発表した。1万人以上が家を追われ、避難民となっているという。

 アフリカ最大の人口を擁するナイジェリアでは長年、北西部と中部で農耕民と牧畜民が土地をめぐって衝突してきた。その中で、一部が「盗賊団」と化し、殺人や略奪、身代金目当ての誘拐を繰り返している。

 今回の襲撃の被害が最初に明らかになったのは8日早朝だった。

 サーディヤ・ウマル・ファルーク(Sadiya Umar Farouq)人道・災害対応・社会開発相は9日、初めて公式に犠牲者数を発表し、「恐ろしく悲劇的」な襲撃を受けて「200人以上が埋葬された」と述べた。また、1万人以上が「盗賊に家を破壊され」て避難を余儀なくされたほか、大勢が行方不明になっているとした。

 7日にAFPの取材に応じた現地住民4人は、武装集団が2日間にわたって2地区を襲い、少なくとも140人を殺害したと語っている。また、被害に遭った村の住民は、武装集団は「目に入った人全員」に向けて発砲していたと証言した。

 ただ、ザムファラ州知事は、死者は58人だと主張している。州当局は昨年、盗賊団の弱体化を図るとして約3か月間にわたり通信の遮断や燃料の販売制限、家畜市場の閉鎖など厳しい制限措置を導入したが、襲撃は続いている。

 ナイジェリア北西部では昨年、学校や大学が襲われ、生徒や学生が何百人も誘拐される事件も多発し、世界で大きく報じられた。軍は、昨年5月以降に「武装盗賊団などの犯罪集団」537人を殺害、374人を逮捕し、「誘拐された民間人」452人を救出したと発表している。

 首都アブジャに拠点を置くビーコン・コンサルティング・ナイジェリア(Beacon Consulting Nigeria)の治安アナリスト、カビル・アダム(Kabir Adamu)氏は今回の襲撃について、軍が最近展開している作戦への報復の可能性があるとAFPに指摘した。(c)AFP/Louise Dewast with Aminu Abubakar in Kano