【12月15日 東方新報】中国国家統計局によると、中国の今年の食料総生産量は前年比2.0ポイント増の6億8285万トンに達し、過去最高を更新した。18年連続で豊作を記録し、7年連続で6億5000万トンを上回った。農業の機械化、大規模化、スマート化が進み、安定した生産をもたらしている。

 農作業の機械化は農家の収入増につながっている。四川省(Sichuan)邛崍市(Qionglai)の大規模農家、周家林(Zhou Jialin)さんは約133ヘクタールの土地で稲や麦を栽培。種まきや肥料、農薬の散布などはすべて機械を使い、ドローンも導入している。1ムー(約667平方メートル)単位の収穫量は小麦が450キロ超、稲は650キロ超に達し、年収は100万元(約1785万円)を超える。「収入はまだまだ増やすつもりです」と周さん。周辺の農家から約400ヘクタールの田畑の機械作業や管理を委託されており、年収200万元(約3571万円)を見据える。

 農業の大規模化は農作業の省力化をもたらしている。トウモロコシ栽培が盛んな山東省(Shandong)嘉祥県(Jiaxiang)では、200台のキャタピラ式収穫機を一斉投入し、県内全域3万2500ヘクタールの収穫を短期間で終えた。農家の呂桂花(Lv Guihua)さんは「今年は雨が多く土がぬかるみ、タイヤ式収穫機では作業がままならなかった。キャタピラ式収穫機を導入してくれた県に感謝します」と話す。収穫後のトウモロコシの管理は農業会社が請け負う。

 地道な農業改良技術も効果を上げている。「中国の食糧庫」と呼ばれる東北三省の一つ、吉林省(Jilin)にある梨樹県(Lishu)は、肥沃(ひよく)な黒土の保存モデルを開拓した。豊富な有機質を含み、保水・保肥性が高い黒土は耕作に最高の土壌といわれるが、収穫量の増加とともに黒土層が薄くなる問題が深刻になっていた。梨樹県ではトウモロコシのワラを「掛け布団」のように畑に全面的に敷き詰め、乾燥を防いで湿度を保つことで土壌有機物を増やし、黒土層をよみがえらせることに成功。「梨樹モデル」は東北各地に広がっている。

 最先端技術は、農作業が厳しい地域に恩恵を与えている。人口に比べ大地が広大で、気候条件も厳しい新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)では、主要作物の機械化レベルは85.2%に達している。中国独自の北斗(Beidou)衛星ナビゲーションシステムと連動したスマート農業機器を使い、安定生産と省力化が進んだ。同自治区イリ・カザフ自治州(Ili Kazakh Autonomous Prefecture)チャプチャル・シベ自治県(Qapqal Xibe Autonomous County)の大規模農家、張庭固(Zhang Tinggu)さんは「昔の農作業はすべてお天道さままかせだったが、すっかり様変わりしました」と話す。同自治区農業農村庁の徐濤(Xu Tao)副庁長は「夏季の国内食料生産量で増加した分の5分の1が新疆産です」と胸を張る。

 今年は河南省(Henan)の豪雨水害や、陝西省(Shaanxi)、甘粛省(Gansu)の干ばつ、秋の収穫時期の全国的な長雨などがあったが、全般的には安定した農業生産が行われ、サンプリング調査では全国の1ムー当たりの食料生産量は前年比1.2ポイント増の387キロに上った。(c)東方新報/AFPBB News