■イスラム過激派の脅威

 世界最貧国の一つのニジェールが夢のような計画を実現するためには、4550億CFAフラン(約900億円)が必要だとアブドゥ氏は言う。欧州連合(EU)や国連食糧農業機関(FAO)、世界銀行などはすでに資金提供を行っている。

「巨大な緑の壁」は砂漠化の阻止に加え、水へのアクセス、太陽光発電、さらに市場向け野菜栽培から養魚、家畜飼育、養鶏場まで、地元住民に雇用機会を提供する社会経済開発に焦点を合わせている。

 地域のNGOも取り組みに参加している。NGO「環境のための若者ボランティア(Young Volunteers for the Environment)」のイッサ・ガルバ(Issa Garba)氏は、100ヘクタールを再森林化し、養魚場を作り、井戸を掘る計画を明かした。

 しかし「緑の壁」関係諸国を苦しめているイスラム過激派の攻撃が、プロジェクトを危機にさらす可能性もある。専門家からは、過激派を恐れて、再森林化や樹木管理の活動に参加できない農民もいるとの指摘も上がっている。

「不安定な状態が、計画の遂行に大きな打撃を与えている」とガルバ氏は語る。「すべての国が、不安定な状態をなくすために闘っている」 (c)AFP/Boureima HAMA