■「娘たちには、あれから一度も会っていない」

 カライノウ市内の別の避難民キャンプで、ムハンマド・アッサン(Mohammad Assan)さんは、2人の娘の写真をAFPに見せながら涙を拭った。9歳のシアナちゃんと6歳のエディグルちゃんは現在、年若い結婚相手と一緒に遠方に住んでいる。

「娘たちには、あれから一度も会っていません」とアッサンさんは言う。「こんなこと、私たちだってしたくはなかった。でも他の子らにも食べさせなければならなかったのです」

 アッサンさんは隣人に分けてもらったパンのかけらを見せながら、こう続けた。「娘たちは向こうではいい暮らしをしているはずです。食べ物もあって」

 アッサンさんの妻ダドグルさんは病気で、医療費がかさんでいる。そこで、アッサンさんは4歳の娘の結婚相手も探し始めている。

 母親たちはいつまでも嘆き悲しみ、心痛から解き放たれることはない。

 夫に先立たれたラビアさん(43)は、娘と別れる日を先延ばしにするため、あらゆる手を尽くしてきた。

 娘のハビベさんは12歳になり、今年9月には婚家に移り住むことになっていたが、母親ともう1年一緒に暮らしたいと懇願した。「お母さんと一緒にいたい」とハビベさんは小声で言った。

 家族を養う余裕があれば、ラビアさんはハビベさんを取り戻すために550ドル(約6万3000円)を突き返すだろう。

 11歳の息子はパン店で働いて1日50セント(約57円)を稼ぎ、9歳の息子はごみ拾いで30セント(約34円)をもらって帰って来る。今年は厳しい冬になりそうだ。

「母親として胸が張り裂けそうです。でも息子たちのことも守らなければなりません」とラビアさんは話した。

 今年8月にアフガニスタンを掌握したイスラム主義組織タリバン(Taliban)政権の下でバドギス州の知事代理を務めるマウルビ・アブドル・サタール(Maulvi Abdul Sattar)氏は、AFPに次のように語った。「こうした児童婚は経済問題が原因だ。イスラム首長国(アフガニスタン)が課したいかなる規則もシャリア(イスラム法)も、原因ではない」

 映像は10月15日撮影。(c)AFP/Elise BLANCHARD