■オリオンの剣

 オリオンの横に並ぶ三つ星をベルトとすれば、その下に縦に並ぶ「小三つ星(こみつぼし)」が剣だ。その剣の中央に、有名な「オリオン大星雲(Orion Nebula)」がある。

 4等星に相当する明るさで、肉眼でも確認できる。「M42」とも呼ばれるオリオン大星雲はわずか約1350光年の距離にあり、地球から見える最も明るい星雲の一つとして知られている。

 星雲は星の材料となるガスや固体微粒子(ちり)などが集まった天体。光って見える星雲は散光星雲と呼ばれ、高温の星の光で電離したガスが光を放つ輝線星雲と、近くの星の光を反射・散乱して光る反射星雲がある。また、低温高密度の星雲は背後の光を遮り、黒い影のように見えるため暗黒星雲と呼ばれる。オリオン座には3種類すべての星雲がある。

 星雲は恒星のライフサイクルの始まりや終わりを表している。星が最期を迎えた場所もあれば、星が形成されている場所もある。星雲内部で周囲より密度の高い部分が重力収縮し始めると、新たな原始星の誕生が始まる。

  オリオン大星雲の中には、台形を成す四つの星「トラペジウム(Trapezium)」を中心とする非常に若い恒星の集団(散開星団)がある。オリオン大星雲は形成からまだ200万年ほどと考えられており、星雲内は今も多くの星が生まれ、成長している「星のゆりかご」となっている。(c)AFPBB News