【11月3日 AFP】スウェーデンのカロリンスカ研究所(Karolinska Institute)は2日、人種差別主義者やナチス・ドイツ(Nazi)支持の科学者にちなんだ建物や通りの名称を変更すると発表した。

 カロリンスカ研究所はノーベル医学生理学賞(Nobel Prize in Physiology or Medicine)を選考している。

 改名されるのはアンデシュ・レチウス(Anders Retzius、1796-1860)とその息子グスタフ(Gustaf Retzius、1842-1919)の名を冠した部屋と建物、通り。

 オーレ・ペッテル・オッテルセン(Ole Petter Ottersen)所長は動画で、「われわれが守るべき本質的価値と相いれない価値観に彼らは傾倒していた」と述べた。

 アンデシュは、人種のヒエラルキーの元となった頭骨の形を計測した「頭示数」で知られ、「長頭」の人は「短頭」の人よりも優れていると主張した。息子のグスタフは父の学説を発展させた。

 2人の学説は、後にナチスが推進した「民族衛生学」に取り込まれた。

 カロリンスカ研究所には、2人が収集した多数の頭骨が保管されている。

 同研究所はまた、ストックホルムに隣接するソルナ(Solna)市に対し、「フォンオイラー(von Euler)通り」を「ウルフ・フォンオイラー(Ulf von Euler)通り」に改称するよう要請している。

 1970年にノーベル化学賞(Nobel Prize in Chemistry)を受賞したウルフ・フォンオイラーを、1929年に同賞を受賞した父のハンス・フォンオイラー(Hans von Euler)と区別するためと説明している。

 ハンスは、後にナチス支持となったスウェーデン系ドイツ人団体のメンバーで、積極的に活動していた。

 今回の改名は、学生らが主導する同研究所の歴史的遺産に関する議論を受けたもの。これにより、すでにフィンランドやフランス、ポリネシア、北米、オーストラリアから収集された先住民族などの頭骨が返還されている。(c)AFP