【10月24日 AFP】南米ベネズエラ西部にあるラグーン(潟)のコンゴミラドール(Congo Mirador)といえば、かつてはのどかな村だった。だが今日、穏やかな湖沼に浮かぶように立つ高床式の家々は、カタトゥンボ(Catatumbo)川がもたらす泥にまみれた集落と化している。

 住民の多くはここを去って行った。コンゴミラドールは消えてなくなりつつある。

 コロンビアに水源があるカタトゥンボ川は、南米最大級の湖であるベネズエラのマラカイボ湖(Lake Maracaibo)に注いでいる。

 川の流れは長い歴史の中で何度も変えられ、ゆっくりと流れ込んだ泥や植物、木の枝などが村をのみ込むほどになった。魚が泳いでいた水辺は草や藻で覆われ、泥地にヘビやヒキガエル、寄生生物などが住みつき生態系を激変させた。

 いつ泥が堆積し始めたのかは定かではないが、住民によると少なくとも2013年には水が濁り泥の小山ができていたという。

 ドローンの映像では豊かな緑に囲まれた村に見えるが、実際は全く違う沼地だ。

 かつて200世帯が暮らし活気があった村に今も残るのはわずか10世帯ほど。辺りはひっそりと静まり返って廃虚のようだ。

 だが住民のダグラス・カマリージョ(Douglas Camarillo)さん(62)はここを出るつもりはない。2週間かけて胸まで泥につかり、額に汗して130メートルの水路を切り開いた。隣近所の人々がボートを使えるようにだ。

「この村を死なせたりはしない。私が生きている限り、村は死なない」とカマリージョさんは力を込めて言った。(c)AFP/Margioni BERMÚDEZ