【10月8日 AFP】スウェーデン・アカデミー（Swedish Academy）は7日、2021年のノーベル文学賞（Nobel Prize in Literature）を、タンザニア出身の作家で、植民地主義の影響や難民の人生を題材にした作品を発表しているアブドゥルラザク・グルナ（Abdulrazak Gurnah）氏に授与すると発表した。

　グルナ氏は1948年生まれ。タンザニアのザンジバル（Zanzibar）島で育ち、1960年代末に難民として英国に渡った。

　同アカデミーは、グルナ氏の「植民地主義の影響と、文化と大陸のはざまにいる難民の運命に向けられた、妥協なき、思いやりにあふれた洞察力」が評価されたと説明した。

　これまでに10冊の長編小説と多くの短編を発表している。運命に翻弄（ほんろう）される難民の姿が一貫したテーマとなっている。

　代表作は1994年の小説「Paradise（原題、パラダイス）」。第1次世界大戦（World War I）中の東アフリカが舞台で、英国で最も権威ある文学賞の一つ、ブッカー賞（Booker Prize）の候補に選ばれたこともある。

　グルナ氏は、21歳の時に英国で小説を書き始めた。母語はスワヒリ語だが、執筆は英語で行っている。

　同氏には、メダルと賞金1000万クローナ（約1億2700万円）が授与される。

　映像前半は2015年に撮影されたグルナ氏の資料映像。英ケント大学（University of Kent）での講義の様子で、同大学より提供。後半はノーベル文学賞発表直後のスウェーデン・ストックホルムの書店の様子。7日撮影。(c)AFP