■共同創設者バラダル師

 共同創設者のアブドゥル・ガニ・バラダル(Abdul Ghani Baradar)師はタリバン運動の発祥の地、カンダハル(Kandahar)で育った。

 多くのアフガニスタン人と同様、バラダル師の人生も1970年代後半の旧ソ連によるアフガニスタン侵攻によって大きく変わり、反乱軍に加わった。バラダル師は隻眼(せきがん)のオマル師と肩を並べて闘っていたとされる。

 旧ソ連撤退後に発生した内戦による混乱と腐敗の中、1990年代初めに2人はタリバン運動を発足した。

  2001年のタリバン政権崩壊後は、暫定政権のハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領に対し、新政権を認める可能性について触れた書簡を持ち込んだ反乱勢力の小集団にバラダル師も加わっていたとされている。

 2010年にパキスタンで拘束されたバラダル師は、米国の働きかけで2018年に解放され、カタールへ出国した。そこでタリバンの政治部門トップに任命されると、アフガニスタン駐留米軍の撤退につながる和平合意に調印した。

■ハッカニ・ネットワークのシラジュディン・ハッカニ師

 旧ソ連に対抗したジハードの司令官として有名なジャラルディン・ハッカニ(Jalaluddin Haqqani)師の息子が、シラジュディン・ハッカニ(Sirajuddin Haqqani)師だ。

 シラジュディン・ハッカニ師はタリバンのナンバー2であると同時に、強力なハッカニ・ネットワーク(Haqqani Network)のリーダーでもある。

 米国がテロ組織に指定しているハッカニ・ネットワークは過去20年間、アフガニスタンで政府軍や米軍主導の北大西洋条約機構(NATO)軍と戦ってきた最も危険なタリバンの一派と見なされてきた。

■創始者オマル師の息子、ヤクーブ師

 創始者オマル師の息子ヤクーブ師(Mullah Yaqoob)は、タリバンの強力な軍事委員会を率いている。軍事委員会は、戦闘の現場で戦略的作戦を実行する指揮官らの巨大なネットワークを統括している。

 ただし、タリバンにおけるヤクーブ師の正確な役割については依然、臆測が飛び交っており、2020年の軍事委員会トップへの任命は単に表面的な措置だとする見方もある。(c)AFP