【8月10日 People’s Daily】中国医薬(中医薬)は中華文明が生み出した宝石のような存在だ。中国で初めて中国医薬を対象とした「中医薬法」が施行された2017年以降、中国医薬産業は急速な発展を遂げている。

 2019年段階で中国医薬を扱う医療機関は6万6000か所に達し、2012年と比べて67.4%増となった。年間の診察回数は11億6000万件、退院人数は3950万人に及ぶ。

 今年4月22日、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)南寧市(Nanning)にある東葛社区衛生サービスセンターで、住民の沈継鋒(Shen Jifeng)さんは中国医の医師に娘を診察してもらっていた。「娘の消化機能の調子が悪くて、漢方薬を調合してもらっています。大きな病院は患者が多くて。自宅のそばに診療所があって助かります」と話す。サービスセンターの葉海燕(Ye Haiyan)主任は「住民が身近な場所で中国医薬の診察を受けられるよう、診療所を開設しました」と説明する。

「地元で中国医の診療を受け、漢方薬を服用する」という草の根レベルの取り組みは広がっている。社区にある衛生サービスセンターの98.3%、末端自治体の郷・鎮における診療所の97.1%、農村の診療所の71.3%で中国医薬が提供されている。

 普及にあたって重要なのが薬の品質確保だ。甘粛省(Gansu)隴西県(Longxi)の中国薬材検査センターでは、検査技師が念入りに原料の有効成分を確認している。技師によると、原料の不合格率は年々減少しているという。

 中医薬法の施行に伴い、品質の改善は進んでいる。毎年5万点ものサンプル検査が行われ、合格率は2018年が88%、19年が91%、20年が98%と上昇を続けている。

 5月9日、日曜にもかかわらず甘粛省中国医院には多くの患者が訪れていた。86歳の医師・王自立(Wang Zili)さんは学生や子どもの前で診察を行い、ノウハウの伝授に努めていた。中国医学では人材育成に力を入れ、新しい育成方式を模索している。医学と薬学との協力、高等教育システムの確立、卒業後の継続的な学習など一貫した人材育成ネットワークを構築している。第13次5か年計画(2016~20年)末で、中国医薬の従事者は76万7000人に達している。

 甘粛省の製薬会社「奇正蔵薬」の責任者は「私たちの漢方薬は昨年、湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)で新型コロナウイルスの患者に投与されました」と振り返る。昨年のコロナ禍では、中国医薬の国家医療チーム773人が5隊に分かれて武漢市に入ったほか、全体で約5000人が最前線で奮闘した。全国の100か所近い医療機関も治療に参加。診察において漢方薬が使われた割合は90%を超え、新型コロナの抑制に大いに貢献した。(c)People’s Daily/AFPBB News