【7月28日 AFP】世界保健機関(WHO)は27日、電子たばこや類似器が健康を害するとし、若者をニコチン中毒にしようとするたばこ業界の「犯罪的」戦略に対する規制をすべきだと警告した。

 テドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、「ニコチンは中毒性が強い。電子ニコチン送達システム(ENDS)は有害であり、規制を強化するべきだ」と述べた。

 WHOは27日、新製品や開発中の製品に焦点を当てた「2021年世界のたばこの流行に関する報告(WHO Report on the Global Tobacco Epidemic 2021)」を公開。市民の健康を守るため、ENDSに対する規制を厳格化すべきだと訴えた。

 テドロス氏は、「ENDSを禁止していない国の政府は、その害から国民を守り、子どもや若者、その他影響を受けやすい層の使用を防ぐための適切な政策を採用すべきだ」と述べた。

 8回目となる報告書によると、メーカーは多数の魅力的なフレーバーと安心感を与えるフレーズで、若者をターゲットにすることが多い。現在、1万6000種類のフレーバーがあるという。

 WHOの「たばこのない世界構想(TFI)」の責任者、ビナヤク・プラサード(Vinayak Prasad)医師は記者会見で、「有毒な製品」で子どもをターゲットにするのは「犯罪行為だ」と述べた。「もっとも犯罪的な行為であり、人権侵害だ」

 報告書によると、ENDSの販売は北朝鮮、シンガポール、インド、イラン、イラク、エジプト、エチオピア、メキシコ、アルゼンチン、ブラジルなど32か国で禁じられている。

 また、79か国では、公共の場での使用禁止や、広告、宣伝活動、スポンサー契約の禁止、外箱に健康被害に関する警告の表示義務など、部分的な規制を少なくとも一つ導入している。

 一方、「残り84か国では、いまだに規制や制限が一切ない」と指摘した。(c)AFP/Christophe VOGT