【7月8日 People’s Daily】このほど、中南財経政法大学(Zhongnan University of Economics and Law)デジタル経済研究院とアリババグループ(Alibaba Group)が共同発表した「西部電子商取引発展報告2021」によると、2020年には、西部地区のタオバオ(Taobao)で出店する新規創業者数の伸び率が初めて他の地域を上回り、全国をリードしている。物流では、西東部地区の小包輸送の平均時間が2年間で16時間短縮された。雲南(Yunnan)、四川(Sichuan)、陝西(Shaanxi)の3つの西部省は、全国の「新型農民」のネット配信者の数トップ10にランクインした。

 同リポートが提供した別のデータによると、2020年に「タオバオで出店」した新規創業者の前年同期比増加率トップ10のうち、西部地区が9人を占めた。その中で、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)、雲南省、貴州省(Guizhou)、青海省(Qinghai)、甘粛省(Gansu)が全国のトップ5となった。現在の西部地区のタオバオで出店する中小企業が網商銀行(アリババが設立した中国初のシステムをクラウド上に持つビジネス銀行)からの1人当たり引き出し金額は2017年比150%近くに増加した。

 アリ研究院の左臣明(Zuo Chenming) 高級専門家は、地理的位置による生まれもっての格差は経済発展の制約の重要な原因であり、デジタル経済は伝統的な地域格差を打破しつつあるとみなしている。具体的には、西部地区のデジタル経済とデジタル農村の発展が加速する主な理由はいくつかある。

 第一は、日増しに改善する西部地区のインフラと物流サービスだ。西部大開発戦略の実施に伴い、特にeコマースのインフラ施設の建設は、西部の辺ぴな山間部の良質な農産物の「農村部からの出荷・都市部への入市」が可能になった。また、各プラットフォーム企業も積極的に戦略の重心を農村に移してきた。例えば、アリババ傘下の菜鳥郷村物流は主流の宅配会社と提携し、デジタル化、スマート化技術を利用し、県、郷、村の3級宅配物流の配送チャンネルを通じ、中国の3万の提携村にサービスを提供しており、今後1年間で1000本の農産物のための上り高速道路を建設する予定だ。

 第二は、農村の人材還流という新しいトレンドだ。今、ますます多くの新しい技術、理念、アイデアを持っている農村の若者が帰郷し就職・起業し、農村に生気と活力をもたらしている。特に、新型コロナウイルスのパンデミックの発生以来、農村労働者の帰郷・起業・就職が加速している。

 第三は、「グリーン発展」理念の波及効果の現出だ。大勢の消費者の「健康的かつ新鮮な良いものを食べたい」という需要の高まりにつれ、西部の山間地帯の多くの良質な商品のより広い販売チャンネルも増えた。

 中南財経政法大学デジタル経済研究院の盤和林(Pan Helin)執行院長は、eコマースで中核産業の発展を推進することは、西部地区と中・東部地区の発展格差を埋める効果的な「鍵」になりつつあると述べた。現在、eコマースは「ライブ配信eコマース」の段階に入っており、特に5Gアプリケーションの普及に伴い、低遅延、高精細度が売り手と買い手の体験を向上させる重要な方法となり、西部地区のeコマースやデジタル経済に全く新しい発展空間を提供している。

「eコマースは、製品の販売範囲を拡大し、消費レベルを向上させ、固定資産投資を促進し、対外貿易のレベルを向上させることができる。これは西部地区の農村の振興と『空洞化』の回避にとって特別な価値がある」。盤執行院長は、ますます多くの地域によるインターネットの積極的な受容により、西部地区のデジタル経済とデジタル農村の発展の加速が進むと予想している。(c)People’s Daily/AFPBB News