■「こんな仕打ち耐えられない」

 専門家や動物保護団体は、電気柵を設置し、夜間は放牧せず、日中は監視すれば、農家は家畜を守ることができると指摘する。

 クサク氏は、家畜への攻撃の増加は「オオカミの数ではなく、管理が不適切なウシの数を反映するのものだ」と語った。

 オオカミの問題は、科学だけではなく、感情と経済的要素が含まれている。

 農家のコーシャ・ガロビッチ(Kosa Galovic)さんは、オオカミ6匹に先月、ヒツジ3頭と子ヒツジ5頭を殺され、経済的に脅かされていると訴える。「誰もこんな仕打ちには耐えられない」

 クロアチア政府は、ヒツジまたはヤギの死骸1体につき約80ユーロ(約1万円)、妊娠中のウシはその10倍の額を補償金として出しているが、農家は取るに足らない額だと批判している。

 動物保護NGO「アニマル・フレンズ・クロアチア(Animal Friends Croatia)」の代表、ルカ・オーマン(Luka Oman)氏は、オオカミを捕獲すると農家にとって事態が悪化する可能性があると指摘する。

 リーダー格の雄や雌が殺されると、群れが不安定な状態となり、攻撃が増える恐れがあるという。経済省も、同様の見解を示している。(c)AFP/Lajla VESELICA