【6月24日 AFP】香港の民主派日刊紙「蘋果日報(アップル・デーリー、Apple Daily)」が廃刊に追い込まれる中、姉妹紙の台湾版は24日、発行を継続すると読者に約束した。台湾行政院は同日、香港当局の対応を強く非難した。

 香港民主派の抗議デモを公然と支持し、独裁的な中国指導部を痛烈に批判するなど、中国政府にとって長年目ざわりな存在だった香港の蘋果日報は、国家安全維持法(国安法)の下で資産を凍結された結果、24日の発行を最後に廃刊となる。

 香港版、台湾版のいずれも香港のメディア王、黎智英(ジミー・ライ、Jimmy Lai)氏が社主を務め、香港企業「壱伝媒(ネクスト・デジタル、Next Digital)」を親会社とする。黎氏は、違法集会を企画・参加したとして国安法に基づき有罪判決を受け、現在香港で収監されている。

 蘋果日報の台湾本社は、「壱伝媒の傘下企業は全て、財務上独立している。台湾の(蘋果日報電子版)『蘋果新聞網』の運営に影響はない」と読者に向けて発表した。

 2003年創刊の台湾版は、資金難のため今年5月で紙版の発行を終了し、電子版のみ発行を続けている。4月には売却案が一時合意に達したが、その後、会社にとって最善の利益ではなくなったとして取締役会が白紙に戻す決定をしていた。

 台湾の対中政策を担う行政院大陸委員会(MAC)は24日、香港版の廃刊は香港の報道と言論の自由が死んだことを告げる「弔いの鐘」だと警告。「国安法と権力者らによる香港メディアの政治的弾圧を厳しく非難する」との声明を出した。(c)AFP