■有害な文化

 アインさんは、動画が痛いところをついていたのだろうと考えている。なぜならば、虐待は「マレーシア中の生徒たちが経験していることだからだ」と主張する。「一人の教師の問題だけではなく、教育制度全体の問題だということを証明している」

 市民団体によると、マレーシアでは長年、学校での虐待が問題とされてきた。身体的・言語的ハラスメントの他、イスラム教学校では生理中の女性は礼拝の義務を免除されることから、女子生徒が生理中かどうかを確認する抜き打ち検査で、プライバシーを侵害されたという訴えもある。

 動画公開後、アインさんは安全上の懸念からクアラルンプール郊外にある学校に通うのをやめた。学校からは、退学処分の警告が届いただけだった。「教育関係者たち、権力を持った人たちが、何も気にしていないことは本当にショックだった」とアインさんは話す。

 教育省は、退学処分警告について、出席が一定期間なかったため自動的に作成されたものだと弁明している。

 一方、警察が捜査を開始し、問題の体育教師は異動となるなど、いくつかの対応も取られている。教師に関する調査も行われているが、本人は一切コメントを発表しておらず、名前も公表されていない。

 アインさんは自分の経験について、時々トラウマになっていると感じることがあるものの、他の人たちに声を上げる勇気を与え、大きな変化をもたらすことにつながるだろうと信じている。

「今、私が心から望むのは、大人たちが私の話に耳を傾け、私たち子どものために正しいことをしてくれることだ」とアインさんは語った。

 映像前半はアインさんが投稿した動画の一部、4月23日に撮影されたもの。後半はAFPの取材に応えるアインさん、5月20日撮影。(c)AFP/Sam Reeves