【6月4日 AFP】中東イエメン沖の紅海(Red Sea)に長年放置されている石油貯蔵施設について、国際環境NGOグリーンピース(Greenpeace)は3日、「いつ爆発してもおかしくない」と警告し、原油流出事故という大惨事を防ぐ行動を国連(UN)に強く求めた。

 内戦下のイエメンの西部ホデイダ(Hodeida)港付近に2015年から放置されている浮体式海洋石油貯蔵積出設備「セイファー(FSO Safer)」は、45年前に建造されたタンカーを転用した施設で、内部には110万バレルの原油が貯蔵されている。

 グリーンピースの広報担当者アフメド・ドルービ(Ahmed El Droubi)氏は、「停泊中にさびつき、いつ崩壊や爆発が起きてもおかしくない」と指摘。「もしではなく、いつの問題だ」

 国連安全保障理事会(UN Security Council)は3日夜に特別会合を開き、ホデイダを支配するイエメンの反政府武装勢力フーシ派(Huthi)に対し、セイファーへの国連査察団の受け入れを「即刻」認めるよう求める声明を出した。

 セイファーは6年間ほとんど保守管理されておらず、環境活動家らは崩壊する恐れがあると警鐘を鳴らしている。グリーンピースによると、船体の腐食が進んでいる上、貯蔵タンク内の爆発性ガスの管理に不可欠な作業も行われていない。

 グリーンピース・インターナショナル(Greenpeace International)のジェニファー・モーガン(Jennifer Morgan)事務局長は、「この地域における(数十年間で)最悪の原油流出事故になりかねない事態を回避するため」、国連は直ちに行動を起こさなければならないと主張。「解決策はある。支援に必要な専門知識や技術も分かっている」と述べた。

 国連は、石油が流出した場合、紅海の生態系に壊滅的な打撃をもたらし、漁業はできなくなり、イエメンの生命線であるホデイダ港は6か月間にわたり閉鎖されるとの見方を示している。

 フーシ派はセイファーの即時点検・整備を求めているが、国連は作業を安全に行うためには公平な影響評価が必要だとしている。(c)AFP