【6月5日 CGTN Japanese】中国北部、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)のオルドス高原北部に弓弦のように横たわるクブチ砂漠は、中国では7番目に大きい砂漠です。この砂漠は近年、植生の被覆率が53%にまで回復し、緑の面積が拡大し続けています。それを支えているのは、年を追うごとに改善されてきた緑化技術です。数ある技術の中には、「10秒で苗木を植え付ける」ことで知られる「低侵襲的気流植樹法」(以下「低侵襲植樹法」と略す)という画期的な植樹法があります。2009年以降、この方法は166万ムー(約11万ヘクタール)の砂漠緑化に応用されたといわれています。

 5月下旬、CGTN記者が同砂漠中腹部に位置する内モンゴルオルドス市杭錦旗で、「低侵襲植樹法」の応用現場を訪ねてみました。

 作業員は長さ約1メートルの水が通されている直管を手に、砂地をつつくようにして穴をあけ、管が地面にほぼ全部埋まると、素早く抜いて事前に用意した沙柳の苗木を入れます。穴のまわりの土を埋め戻すようにもう一度水をかけて仕上げとなります。タイムを計ると、10秒の早業でした。

 現場で技術指導に当たっている専門家は「人体の場合、腹腔鏡や内視鏡手術のほうが体への負担が小さく、回復が早い。同じように、砂漠では、地面を掘り起こす面積が少ないほうが、砂の湿度に影響を与えずに済むため、活着率の向上につながる」と言います。

 この方法で植えた沙柳は、活着率が従来の50%から約90%に高まり、他の樹種にも応用した結果、概して活着率が従来の5~6倍も高いことが分かりました。

 低侵襲植樹法は中国の他の砂漠にも応用されているほか、クブチ国際砂漠フォーラムなど国際会議の場を通じて、全世界に無料で公開され、今後は世界の砂漠緑化への役割発揮が期待されています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News