【5月31日 AFP】カタール当局は29日、来年開催予定のサッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)のインフラ整備事業に従事する外国人労働者の劣悪な労働環境をブログで告発したケニア人警備員を拘束し、「外国の工作員」から金銭を受け取って虚偽情報を流布した罪などで起訴したことを明らかにした。

 警備員のマルコム・ビダリ(Malcolm Bidali)氏をめぐっては国際人権団体が28日、カタール治安部隊に今月4日に身柄を拘束されたとして、所在の公表と即時釈放を求めていた。

 ビダリ氏は「ノア(Noah)」というペンネームで、スタジアム建設などW杯のインフラ整備事業の現場で働く外国人労働者の苦境を告発する記事を何本も執筆し、ブログで公開していた。

 カタール政府は、ビダリ氏を今月初めに逮捕したことを認めるとともに、「虚偽情報の作成と流布を行うため外国の工作員から金銭を受け取ったことに絡み、複数の罪で正式に起訴した」と発表した。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)、ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)、マイグラント・ライツ(Migrant-Rights.org)、フェアスクエア(FairSquare)、ビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)の5団体は、ビダリ氏について共同声明で、「平和的に人権を行使したことによって拘束された」との見解を表明。直ちに釈放するよう求めている。

 天然ガス資源が豊富なカタールは、主にアフリカとアジアから働きに来る大勢の外国人労働者の待遇をめぐって国際機関からたびたび批判されている。(c)AFP