■「法的な武器」

 ラスメル氏は、児童労働との闘いは「進歩」していると言う。

 シカゴ大NORCの調査によると、カカオ栽培農家にいる子どもたちの就学率は著しく改善され、2008~09年の59%から、10年後には85%になったという。

 一方、コートジボワール政府のコーヒー・カカオ協議会(CCC)による2020年の調べでは、5歳から17歳までの子どもの就学率は71%にとどまっている。

 同国の児童労働と人身売買を取り締まる国家監視委員会は、2019年以降、カカオ農園から約2000人の子どもが救出されたと述べている。

 スブレの検察官アレクサンドル・コネ(Alexandre Kone)氏は、コートジボワールでは過去10年の間に、児童奴隷・人身売買を罰する「法的な武器」が整備されたと語った。10歳未満の子どもに労働をさせると、罰金および数か月から終身刑までの実刑が科せられるという。

 監視委員会によると、2012~20年に児童人身売買で裁かれたのは約600人。うち約300人が有罪となった。今年は、スブレで行われた2件の裁判で、人身売買業者23人が1~20年の刑を言い渡された。

「子どもたちは学校に行かねばならないが、親に余裕がなければ、子どもたちは(学校に)行かないで働く」と村民のクアシ・コウアコウ・フランク(Kouassi Kouakou Franck)さん(25)は警察の捜索中にAFPに語った。

「貧困こそ、児童労働と人身売買の主因だ」とラスメル局長は指摘。世界銀行(World Bank)によると、カカオで生計を立てるコートジボワールの500万~600万人の半数以上が、貧困ライン以下で生きている。

 映像は6~8日撮影。(c)AFP/David ESNAULT