【4月1日 AFP】ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン(Jacinda Ardern)首相は1日、児童ポルノ所持の罪を認めた著名実業家ロン・ブライアリー(Ron Brierley)被告(83)からナイトの称号を剥奪する手続きを開始した。首相府が発表した。

 報道官は「剥奪手続きが存在し、首相がその開始を要請した」と説明した。

 ブライアリー被告は2019年12月、豪シドニーの空港で逮捕された。当時警察は、手荷物検査で被告のノートパソコンとハードディスクから大量の児童ポルノが見つかったと発表していた。被告は1日にシドニーの裁判所に出廷し、3件の児童ポルノ所持で有罪を認めた。

 ニュージーランド生まれのブライアリー被告は、1980年代にオーストラリアとニュージーランドで最も恐れられた「企業乗っ取り屋」の一人。自身の投資会社「ブライアリー・インベストメンツ(Brierley Investments)」をニュージーランド最大の上場企業へと押し上げ、1988年にはその企業経営の功績でナイトの称号が与えられた。

 ニュージーランドでナイトの称号の剥奪は前例がない。ただ、かつてニュージーランド領だったクック諸島では、アルバート・ヘンリー(Albert Henry)元首相が選挙に絡んだ不正で有罪となった後に称号を剥奪されたことがある。(c)AFP