■「ダムで洪水はむしろ軽減」と中国は主張

 隣国の中国でも、主要河川の洪水規模は大きくなっている。

 昨年、アジア最長河川の長江で記録的な氾濫が続き、数百人が命を落とし、数千戸の家屋が水没した。環境問題の専門家や活動家は、気候変動の影響が増大している証拠だと警告した。

 中国も広大なダム群を造っているが、これによってむしろ洪水の軽減につながっていると当局は主張している。しかしインド同様に議論を呼び、ダムによって地震や土砂崩れが起こりやすくなったという指摘もある。

 中国のダム建設は国外でも批判され、特にチベット高原(Tibetan Plateau)に発し東南アジアを蛇行するメコン川への影響が問題視されている。ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム各国は2019年に大干ばつに見舞われ、メコン川の水位は記録的な低さになった。

 気候変動を指摘する以外に、中国のダム事業に対し透明性を要求する声も上がった。メコン川の中国側に11基のダムが建設されているからだ。

 下流にある国々でも、数十基の水力発電用ダムが建設済み、または計画中で、多くは中国政府系の企業に資金提供を受けているが、環境被害が懸念されている。

 中国共産党は「世界有数の大河を何本も支配しているが、近隣諸国ではその下流に住む何百万という人々が食料、農業、水上輸送、安全保障面でその川に頼っている」とプローブ・インターナショナルのアダムズ代表は指摘した。(c)AFP/Sam REEVES