【12月31日 AFP】中国の保健当局は31日、国有製薬大手「中国医薬集団(シノファーム、Sinopharm)」が開発し、79%の有効性が報告された新型コロナウイルスワクチンを「条件付き」で承認したと発表した。世界最多13億人以上の人口を抱える中国のワクチン接種にとって大きな一歩となる。

 シノファームの国産ワクチンは、臨床試験(治験)最終段階である第3相試験中の国内の競合他社に先んじており、アジアにおける新型ウイルスとの闘いで突破口となる可能性がある。

 中国当局によると、医療関係者や国外での勤務に従事する労働者に対し、これまでに国産ワクチン約450万回分が接種された。

 中国国家衛生健康委員会の曾益新(Zeng Yixin)副主任は、条件付きでの承認によって、重症化しやすい人や高齢者といったハイリスクグループにワクチンの接種対象を拡大できると述べた。

 シノファームは30日、自社が開発しているワクチンの最有力候補で、79.34%の有効性が示されたと発表した。米製薬大手ファイザー(Pfizer)と独製薬ビオンテック(BioNTech)が共同開発したワクチンの95%や、米製薬大手モデルナ(Moderna)の94%と比べると有効性は低いものの、それでも中国にとっては形勢を一変させるものとなる。

 曾氏は、「国全体の予防を確立するためには、国民の60~70%の接種が必要だというのが一般的な見解だ」と述べた。

 中国政府は春節(旧正月、Lunar New Year)を迎える2月中旬までに数百万人の接種を計画している。さらに中国は、1年前に自国の都市・武漢(Wuhan)で最初に確認された新型ウイルスによるパンデミック(世界的な大流行)からの立ち直りを目指す国際社会でリーダーシップを発揮するために、「公正な価格で」ワクチンを発展途上国と迅速に共有すると約束している。(c)AFP