【12月22日 AFP】(更新)新型コロナウイルスの流行が始まって以来、初めてのクリスマスがやってくる。各国政府は新たな感染の波を食い止めるためにさまざまな自粛を呼び掛けており、例年とは違ったクリスマスシーズンとなっている。

 英国では新型コロナウイルスの変異種が猛威を振るい、世界数十か国で同国からの渡航が制限されている。状況が最も深刻なロンドンとイングランド南東部では、30日までロックダウン(都市封鎖)が続く。

 イタリアでは来年1月6日まで外出が1日1回に制限され、バー、レストランをはじめ、不要不急の営業はできない。オランダでは1月19日までロックダウンを実施。学校が閉鎖となっている他、生活に必要な店舗のみ営業が許されている。

■独首相メルケル氏の訴え

 親しみを込めて「ムッティ(『お母さん』の意)」と呼ばれるドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は国民に対し、「祖父母と過ごす最後のクリスマスにならないよう」、人との交流を控えなければならないと警告した。

 我慢すべきなのはそれだけではない。メルケル氏は、多くの人が楽しみにしているクリスマスマーケットのホットワインやワッフルも今年は諦めるよう呼び掛けた。

■「クリスマス泥棒」

 カナダのマニトバ(Manitoba)州のブライアン・パリスター(Brian Pallister)州首相はさらにストレートに「私は皆さんの安全を守るためのクリスマス泥棒だ」と述べ、外出を自粛するよう警告した。さらに「新型コロナウイルス感染症なんて本当はないと今考えているとしたら、愚か者だ」と言い放った。

 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、「最高の(クリスマス)プレゼントは、健康を贈ること」だと述べた。

■英女王も外出自粛

 最も厳しい水準の規制を課しているベルギーとルクセンブルクでは、クリスマスに招待できる人数は1世帯当たり1人(単身世帯の場合は2人)に制限された。

 ドイツではクリスマスに集まるのは近しい家族に限定し、しかも前の週からそれぞれが人との接触を控えた場合に限るべきだとしている。

 米国では11月の感謝祭(Thanksgiving)の連休後に新規感染者数が急増している。米疾病対策センター(CDC)は、祝祭日を楽しむ最も安全な方法は「一緒に住んでいる相手と自宅で祝うこと」だと勧告している。また、旅行も控えるよう呼び掛けている。

 カナダのケベック(Quebec)州では新規感染者数の増加を受け、クリスマス前後の4日間は集まってもよいとしていた決定を取り消した。

 フランスは、同じ食卓を囲む成人は6人までとしている。英国は、ロンドンとイングランド南東部を対象に「ステイホーム(自宅待機)」を指示。3世帯まで一緒に過ごすことを認める予定だった行動制限の緩和も取りやめとなる。94歳と高齢のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)もウィンザー城(Windsor Castle)を離れる予定はない。