【12月14日 AFP】世界保健機関(WHO)は14日、世界の医療施設の4分の1で水道が利用できず、約18億人が高い新型コロナウイルス感染リスクにさらされていると明らかにした。

 WHOは国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)と共同で、165か国のデータに基づく調査報告書を発表。医療施設で最も基本的な設備である水道が使えないことで、患者も医療従事者も危険にさらされていると指摘した。

 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、「上下水道が通っていない医療施設で働くということは、個人用防護具を持たせずに看護師と医師を派遣するようなものだ」と述べた。

 WHOの統計によると、医療従事者は総人口の3%に満たないが、世界で確認された新型ウイルス感染者の14%を占めている。

 ユニセフのヘンリエッタ・フォア(Henrietta Fore)事務局長は、「医療従事者や治療を必要とする患者を、清潔な水も安全なトイレも、せっけんさえもない施設に送ることで、彼らの命を危険にさらしている」と指摘した。

 報告書によると、世界の医療施設の3分の1で手指衛生を保証できず、10分の1は下水道が通っていないという。

 後発開発途上国(LDC)47か国の医療施設の状況はさらにひどい。半数で飲料水を利用できず、4分の1で衛生状態を保つための水が利用できず、5分の3は下水が通っていない。

 WHOとユニセフは、こうした国々の医療施設に上下水道を通すには、住民1人当たり約1ドル(約104円)、設備を維持するには住民1人当たり年間20セント(約21円)の費用がかかるとしている。(c)AFP