■「告白」

 ここである疑問が浮上する。苦悩と憎悪から脱却できたように見える国と、そうは見えない国があるのはなぜだろうか。

 ナイト氏は、ルワンダのポール・カガメ(Paul Kagame)大統領は確かに清廉潔白ではないが、それでも平和で安定した社会をつくるために尽力しているのは明らかだと話す。さらに同国の身分証明書に、ツチ人やフツ人の表記がなくなったことにも触れた。

 ルワンダは「独裁国」だ。それでも、「普通の人々」が運営に関わる法廷の設置は進められ、被害者が加害者の「告白」を聞くことはできる。ナイト氏はまた、ルワンダの前進におけるもう一つの重要なカギが、政治機構における女性の存在にあるとも述べた。

 一方で、ナイト氏はカンボジアについては、指導者のフン・セン(Hun Sen)氏が同様の法廷を設置することに難色を示したと述べた。その他、欧米諸国政府の干渉も同国では障害になったと英記者のジョン・スウェイン(Jon Swain)氏は指摘する。

 またボスニアでは、政治的方向性が完全に欠如し、複数のリーダーが並び立つ状況が生まれたとナイト氏は述べる。そして「全面的な機能不全」に陥り、強固な和平プロセスを推し進めることができなかったと説明した。(c)AFP/Chloé COUPEAU