■ニューメキシコ州

「証拠をつかんだ。祖父は2014年12月31日に亡くなったのに、今日、祖父宛ての投票用紙を受け取った」。このようなコメントが、ニューメキシコ州ドニャアナ(Dona Ana)郡の選挙管理局から送られてきた封筒の写真と一緒にフェイスブック(Facebook)に投稿された。

 しかし、同郡のアマンダ・ロペス・アスキン(Amanda Lopez Askin)氏は、この封筒は郵便投票用紙の申請書であって、投票用紙そのものではないと指摘する。「有権者の利便性を考え送付された無害の申請書に関する誤った情報がまん延し、不正投票だとの主張に使われるのは本当に残念だ」と述べた。

 民主主義制度の監視団体コモン・コーズ(Common Cause)でデジタル部門の副代表を務めるジャック・マンビー(Jack Mumby)氏は、「郵便投票は安全で、確実で、実証済みだ。残念なことに一部の人は信頼性を弱めるための政治的機会をそこに見いだす。いったんこうした話が出ると、ちょっとした役所仕事の混乱のようなものであっても、不正工作説を補強することになる」と語った。

■ウィスコンシン州

 ウィスコンシン州オーククリーク(Oak Creek)に住むある女性は、11月3日の大統領選の投票用紙を2通受け取ったとフェイスブックに投稿した。女性は「この選挙は詐欺選挙になる!」とし、「直接投票」に行くよう勧めている。

 しかし、このうち1通は実際に11月の大統領選の投票用紙だったが、もう1通は8月の予備選のものだったと、オーククリーク市職員キャサリン・ロースケ(Catherine Roeske)氏は指摘する。

 2通目の封筒には2020年6月からと書かれている。ロースケ氏は11月3日の大統領選用の投票用紙は9月17日までなかったとし、「こうやってうわさが始まる」と話した。

 オハイオ州立大学(Ohio State University)工学部准教授で、選挙事業に携わったこともあるセオドア・アレン(Theodore Allen)氏は、有権者の署名は経年によって変わる可能性があり、最大の問題は今のところ実際の投票数よりも少なく数えられることだと指摘する。

■ニュージャージー州

 ニュージャージー州の複数の住民は、自分宛てではなく死亡した親族宛ての郵便投票用紙を受け取ったと主張している。ニューメキシコ州の事例と異なり、写真の投票用紙は実際の郵便投票用紙で、申請書ではなかった。

 ニュージャージー州ミドルセックス(Middlesex)郡政府の広報担当キンバリー・バーネット(Kimberly Burnett)氏は、選挙管理委員会が署名の確認を行っており、偽造があればふるい落とされると述べた。選挙後の監査で投票者が死亡していることが分かった場合、不正行為があったとして地方検察当局に報告されるという。(c)AFP/Louis BAUDOIN