■「真のスポーツマン」

 イクラムさんはそのスキルのおかげで、インターネット上で、パキスタンのスヌーカー界有名人となった。

「僕は有名になった」。そう話すイクラムさんだが、実はソーシャルメディアが何かは知らないという。

 パキスタン政府は、障害者に関して最新の統計を取っていないが、その数は非政府組織の推計によると、国の人口約2億2000万人に対し、3000万人を超えるという。

 だが、社会保障制度によるセーフティーネット(安全網)が十分でないため、障害者の大半は自宅にとどまっている。

 スヌーカー場のオーナー、ムハンマド・ナディーム(Muhammad Nadeem)さんは、イクラムさんを「真のスポーツマン」だと形容する。

「彼からゲーム代はもらわない。逆に、彼と対戦するために皆が彼にお金を払っている」

「彼にライバルはいない。障害のあるクリケットやサッカーの選手はいるが、スヌーカーでは、彼が唯一無二のプレーヤーだ」 (c)AFP/By Zain Zaman Janjua