【10月7日 AFP】旧ソ連のアルメニアとアゼルバイジャンの係争地であるナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)で両国間の紛争が激化している問題で、アルメニアのニコル・パシニャン(Nikol Pashinyan)首相(45)は6日、AFPとのインタビューで、戦闘再開の背後にアゼルバイジャンの同盟国トルコの「全面的な支援」があると述べ、激化する紛争を「テロリズムとの戦争」と呼んだ。

 首都エレバンでインタビューに応じたパシニャン首相は、「アゼルバイジャンの指導層が過去15年間、しきりに好戦的な物言いをしてきたのは事実だが、今、戦争を起こすという決定はトルコの全面的な支援によって動機付けられたものだ」「トルコの積極的な関与がなければ、この戦争は始まらなかっただろう」と語った。

 元新聞編集者のパシニャン氏は2018年、当時の与党に対する大規模な抗議デモを率い、変革への広範な欲求を背に首相に就任。ロシアと欧米諸国双方との良好な関係を求めている。

 イスラム教徒のチュルク系民族が国民の大半を占めるアゼルバイジャンは、トルコと緊密な同盟関係にある。一方、アゼルバイジャン領内にあるナゴルノカラバフはアルメニア系が多数派を占めており、数十年にわたって両国が領有権を争っている。

 だが、パシニャン氏は今回の戦闘は「ナゴルノカラバフ紛争が単にまた激化しただけではない」と強調。「中東から来たテロリスト集団がナゴルノカラバフに積極的に関与している」と述べ、アルメニアの軍事行動を「対テロ作戦」だと表現した。

 トルコは、ナゴルノカラバフでアゼルバイジャンを支援するため、シリアから戦闘員を派遣したとして非難されている。フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、トルコが「一線」を越えたと非難し、「ジハーディスト(聖戦主義者)」がナゴルノカラバフ入りしたと主張した。

 さらに、アルメニアはトルコ軍がナゴルノカラバフで直接戦闘を行っていると非難。パシニャン氏はトルコのF16戦闘機がこの紛争に「積極的に関与している」と述べた。トルコはこれを否定しているが、確たる証拠は示していない。(c)AFP/Maxime POPOV