■学術論文利用した捕獲の懸念も

 研究チームは、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES、ワシントン条約)と、米国への野生動物輸入を取り扱う「ロー・エンフォースメント・マネジメント・インフォメーション・システム(LEMIS)」のデータベースを使用。

 さらに、5言語でのキーワードに基づいた検索結果約2万5000ページを調査したところ、少なくとも爬虫類全体の36%に当たる3943種が取引されていることが判明した。絶滅危惧種の取引で最も懸念されるのは東南アジアの一部であることも分かった。

 ヒューズ氏は、科学的に記述されてから数か月しかたっていない生物がオンラインで売りに出された例もあったとして、新種の生物の取引への懸念を強調した。

「多くの爬虫類は飼育しやすい上、爬虫類の飼育は『クール』だという風潮もあり、見た目が派手で珍しいエダハヘラオヤモリなどを手に入れようとする動きは特に強い」とヒューズ氏は指摘。学術論文に記載された細かい情報を利用して野生の爬虫類が根こそぎ捕獲された例もあると示唆する先行研究もあったという。

 野生動物の国際的な取引を調査・監視するNGO「トラフィック(Traffic)」のリチャード・トーマス(Richard Thomas)氏によると、新種の爬虫類を記述する科学者が「生息地を詳しく公開すれば、その種に値段を付けるといういやな立場に立つことになる」と述べた。

 その例としてトーマス氏は、「発見後に野生で絶滅した」マッコードナガクビガメや、再発見後すぐに爬虫類専門の飼育グループ内でオンライン販売され始めたミミナシオオトカゲを挙げている。

 トーマス氏は、「彼らは、(生息地を公表すれば)専門収集家らやブリーダーがやってくると間違いなく認識しているだろう。それでもタイプ産地(訳注 基準標本が野生で生息していた場所)は、記録に値する生物種に関する科学的文書の重要な部分だ」と述べた。(c)AFP/Kelly MACNAMARA