【9月10日 AFP】レバノンのミシェル・アウン(Michel Aoun)大統領が、首都ベイルートで発生した大爆発の被害者にとスリランカから寄付された紅茶を、被害者ではなく自身の護衛隊の家族に配っていたことが発覚し、激しい非難にさらされている。

 ベイルートで先月4日に発生した大爆発では中心地が大きな被害を受け、190人以上が死亡、数千人が負傷した。同国は今でも、平時における史上最悪の災害となった大爆発の影響に苦しんでいる。

 爆発の原因はレバノン当局の怠慢であり、同国における数多くの汚職の一例だと批判されている。

 スリランカは、大爆発直後に真っ先に支援の手を差し伸べた国の一つだった。レバノンでは、多くのスリランカ人が家政婦として働いている。

 レバノン大統領府は先月24日、アウン氏がスリランカ大使と面会した際の写真を公開。同大使の発言を引用し、スリランカが「ベイルートの爆発の被害者に、1675キロのセイロン紅茶を寄付した」と明らかにした。

 その後、寄付された紅茶の行方について国内メディアとソーシャルメディアで疑問の声が上がったことを受け、大統領府は8日、アウン氏はスリランカ大統領に感謝を示す書簡を送ったと説明。その中で大統領は「セイロン紅茶の贈り物は軍が受け取った」「大統領護衛隊の家族に配られた」と書いたという。

 これに対し、ソーシャルメディア上では批判が噴出し、ツイッター(Twitter)では「紅茶泥棒」や「セイロン紅茶」のハッシュタグがトレンドに入った。

 爆発発生後に辞任した元議員のポーラ・ヤコビアン(Paula Yacoubian)氏は、「紅茶はレバノン市民、特に爆発の影響を受けた人への贈り物だった。もちろん、必要としない人に向けたものではない」とし、「自分の側近に配るのは、恥ずべき行為だ」と非難した。(c)AFP