【9月8日 AFP】トルコで2018年、サウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏が殺害された事件で、サウジの裁判所は7日、被告5人の死刑判決を撤回し、8人に禁錮7〜20年の確定判決を言い渡した。カショギ氏の婚約者は判決を非難。国連(UN)の専門家は「司法のまねごと」と批判した。

 事件をめぐっては5月、カショギ氏の息子らが犯人らに「恩赦」を与えると表明したことから、減刑の可能性が出ていた。国営サウジ通信(Saudi Press Agency)は検察当局の発表として、「有罪判決を受けた5人には20年の禁錮刑が、別の3人には7〜10年の禁錮刑が言い渡された」と報道。被告の氏名は公表されていない。

 王室の顧問から批判者に転じたカショギ氏は2018年10月、トルコ・イスタンブールのサウジ総領事館内で殺害された。事件は事実上のサウジ支配者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)の評判を傷つけた。

 今年11月に首都リヤドで20か国・地域(G20)サミットの開催を控えたサウジは国際社会でのイメージ回復に努めており、今回の判決は事件の幕引きを図りたい同国の意向を浮き彫りにした。

 カショギ氏の婚約者だったハティージェ・ジェンギズ(Hatice Cengiz)さんは判決を「茶番」と非難。超法規的・即決・恣意(しい)的処刑に関する国連の特別報告者、アニエス・カラマール(Agnes Callamard)氏はツイッター(Twitter)への投稿で、「サウジ検察がきょう、この司法のまねごとでの演目をさらに一つ演じた」と批判した。(c)AFP