【8月26日 AFP】ドイツ政府は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による大量失業を回避するために、労働時間減少による給与減少分を政府が補填(ほてん)する短時間労働給付金の付与を1年延長する。

 アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相率いる保守・中道連立政権は25日、今年末までに申請した全企業を対象に、短時間労働制度(Kurzarbeit)の実施期間を24か月とすることに合意した。

 短時間労働制度は、労働者がコスト削減のために雇用主から労働時間を減らされた場合、政府が賃金の約3分の2を補填するというもの。

 この制度は2008~09年の金融危機の際に広く利用され、数万人の雇用を保護したとして評価を得ている。

 ドイツ連邦雇用庁によれば、4月に新型コロナウイルス抑止策として国内各地でロックダウン(都市封鎖)が行われた際には、この制度を通じて約680万人が給付金を受け取った。

 この制度の支出額は大きい。2009年にドイツの経済生産が5%縮小した際には、平均110万人が給付対象となり、政府は約100億ユーロ(約1兆2500億円)を支出した。

 ドイツの国家予算は長年均衡を保ってきたが、今年は新型ウイルスのパンデミックに対応するため2180億ユーロ(約27兆円)の借り入れを予定している。

 フランスや英国など他の欧州諸国も、経済へのパンデミックの影響を回避するために同様の短時間労働制度を導入している。(c)AFP