■温度は太陽核の10倍に

 この巨大装置を組み立てるため、現場では約2300人が作業に当たっている。

 核融合炉が完成すれば、恒星中心部で起こる核融合反応が再現でき、その温度は約1億5000万度に達すると考えられる。これは太陽核の温度を約10倍上回る数値だ。

 装置は2035年までに本格稼働できる可能性がある。ただ、あくまで実験計画の段階であるため、電力を生産するようには設計されていない。核融合発電技術が実現可能であると証明されれば、それぞれの核融合炉は従来型原子炉と同等の運用コストで約200万戸にエネルギーを供給できるようになると推算されている。

 だが、このような「人工の太陽」に対しては、莫大(ばくだい)に費用がかさむ科学の妄想だとして環境保護論者らから批判の声が上がっている。

 事実、ITER計画は予定より5年遅れており、総費用もすでに当初予算の3倍となる約200億ユーロ(約2兆5000億円)にまで膨らんでいるとされる。(c)AFP/Olivier LUCAZEAU