■水の行方を追う

 人々の興味をかき立てるようなこの新発見は、火星探査への潜在的な関心を再燃させる助けとなった。

 水の発見以降、探査ミッションが実施されるたびに「火星がこれまで考えられていたほど生気がないわけではないということを示す証拠」が次々と明るみに出ていると、CNESの宇宙生物学者ミシェル・ビソ(Michel Viso)氏はAFPの取材で語る。

 そして、米国が火星に送り込む最新のローバー「パーシビアランス(Perseverance)」は、人類がこれまで最も待ち望んでいた探査機器となるかもしれない。

 打ち上げから6か月にわたって宇宙空間を移動し、2021年2月に火星に到着する予定のパーシビアランスは、ジェゼロ(Jezero)クレーターへの着陸を予定している。このクレーターはかつて幅45キロの広大な河川デルタ(三角州)だったと考えられており、化石の痕跡を保持する地球上の岩石と同じ種類の泥岩や炭酸塩岩などの堆積岩が豊富に存在する可能性があるという。すなわち、ジェゼロは、宝の山となるかもしれないのだ。

 もちろん、そうではない可能性もある。

 ロカール氏は「水がかつて流れていたことは分かっているが、大きな疑問がひとつ残されている。どのくらいの期間、そのような(水のある)状態にあったのかという疑問だ」と述べ、地球上での生命の出現にどのくらいの時間を要したかすらまだ分かっていないのだと指摘した。

 火星探査ミッションで岩石サンプルを採取し、地球に持ち帰ることができれば、科学者らを長年悩ませている疑問に答えを出せるかもしれない。

 それでも、こうした分析が可能になるまでには少なくともあと10年は待たなければならないだろう。そして、その分析結果は、一つの明確な答えではなく「さまざまな手掛かり」となる可能性が高いと、CNESのビソ氏は指摘している。