【6月20日 AFP】米中央情報局(CIA)の元スパイで、キューバのフィデル・カストロ(Fidel Castro)元国家評議会議長の暗殺や社会主義政権の弱体化に生涯をささげた同国出身のアントニオ・ベシアーナ(Antonio Veciana)氏が18日、米フロリダ州マイアミで死去した。91歳だった。娘のアナ・ベシアーナスアレス(Ana Veciana-Suarez)さんが19日、AFPに明らかにした。

 2017年に出版されたベシアーナ氏の自伝「Trained to Kill(『殺すために訓練されて』の意)」では、キューバ国立銀行の会計士だった自身が1959年、別名「ビショップ(Bishop)」として知られていたCIA諜報(ちょうほう)員のデービッド・アトリー・フィリップス(David Atlee Phillips)氏に勧誘され、カストロ氏暗殺のためにキューバの首都ハバナで訓練を受けていた過去についての詳細が語られている。

 キューバが全面的に不安定化する中、ベシアーナ氏は、同国政府が親から子どもの親権を奪うとしたうわさを拡散。1960~62年には、「ピーターパン作戦(Operation Peter Pan)」として知られる集団脱出が実施され、親たちはカトリック教会の事務所を通じてキューバからわが子を脱出させ、大人の同伴者のいない未成年者はフロリダ州の施設に収容された。同作戦でキューバから米国に送られた子どもは、約1万4000人に上る。

 ベシアーナ氏は1961年、カストロ氏への攻撃未遂後に米国に亡命。その後も2回にわたりカストロ氏を殺害しようと試みたが、最終的には1979年に暗殺作戦を諦めた。カストロ氏は2016年、自然死した。(c)AFP