【6月13日 AFP】米ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で警官が黒人のジョージ・フロイド(George Floyd)さんを死亡させた事件を機に世界中で反人種差別デモが行われる中、米国の報道機関の多くは、自らが人種差別に加担してきた事実と向き合うことを強いられている。

 米国の大手メディアではここ1週間、「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」運動をめぐる報道や、非白人記者に対する不当な扱いに関する批判が高まり、幹部の辞任が相次いだ。

 ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙では、米軍によるデモ隊鎮圧を呼び掛けた上院議員の寄稿を掲載したオピニオン面編集長が批判を受け辞任。フィラデルフィア・インクワイアラー(Philadelphia Inquirer)紙でも、デモ現場で起きた暴動による建物被害に言及した「Buildings Matter, Too(建物も大切だ)」との見出しが反発を呼び、編集長が辞任した。

 同様の状況は、生活情報サイトから新聞までメディア業界全体に波及。各社は従業員との対話の場を設けたり、連帯や謝罪、改善の約束を表明したりした。

 これと並行し、ツイッター(Twitter)上では多くの黒人ジャーナリストが職場での自らの体験を投稿し始め、長年にわたり白人男性で占められてきた業界で働く難しさについて非難の声を上げた。

 そのうちの一人、ニュースサイト「インターセプト(The Intercept)」政治記者のアケラ・レイシー(Akela Lacy)さん(27)は「自分はニュースルームで唯一の黒人記者だという人は他にもいる?」とツイートした。

 米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が2018年に発表したデータによると、非ヒスパニック系の白人は米国の労働人口の65%、全人口では60%を占めるが、米メディア報道部門では77%に上る。非ヒスパニック系の白人男性だけでも報道部門のほぼ半分を占めている。