【5月21日 AFP】 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は20日、巨大な白人の手が黒人男性を押しのけたりはじき飛ばしたりする内容の動画広告が人種差別的だと激しい批判を浴びたことをめぐり、謝罪した。

 問題とされたのは、同社がインスタグラム(Instagram)のストーリーに投稿した人気車種「ゴルフ(Golf)」の新型モデルの動画CM。10秒間のCMでは、建物の前に駐車した黄色い新型ゴルフのそばにいたスーツ姿の黒人男性を、巨大な白人の指先が押したり摘まみ上げたりしてあちこち移動させ、最後には車から遠ざけるように建物の中へはじき飛ばしている。

 19日にCMが投稿されると、たちまち「Der neue Golf(新型ゴルフ)」の文字が画面に浮かび上がる順番がドイツ語で黒人を指すタブー語に読めるとの主張や、建物の入り口に刻まれたビル名「Petit Colon」が植民地主義を連想させるとの意見など、オンライン上に批判があふれた。

 批判を受け、問題の広告はインスタグラム上から削除されたが、その後もツイッター(Twitter)で拡散している。

 フォルクスワーゲンは当初インスタグラム上で、「広告の登場人物の素性に意味はない」と強調し、企業方針として「あらゆる人種差別、外国人嫌悪、差別的扱い」に反対していると釈明。「当社のインスタグラム・ストーリーがこれほどの誤解を招いたことに驚き、ショックを受けている」とした上で、広告の取り下げを表明した。

 さらに同社は20日、謝罪声明を発表。何が起きたか調査中だと説明し、「疑いの余地はなく、この広告は誤りであり悪趣味だ」と述べた。

 しかし、インスタグラムやツイッターのユーザーらは「誰も誤解などしていない。これは人種差別の悪いメッセージだ」「この広告を制作した人々は、自分たちのしていることをはっきり理解していたはずだ」と指摘している。(c)AFP